昔から、夏休みは受験生にとっての天王山といわれます。夏休みを制するものが受験を制するという意味です。それで、親も気合が入りすぎることがあります。
わが子がだらけていると、その間もほかの受験生たちは1分1秒を惜しんで勉強しているのではないか、このままではどんどん差をつけられてしまうのではないか、という恐怖にかられます。そんなときに親の口を突いて出てくるのが、「やるって言ったじゃない!」「あなたが決めた計画でしょ!」というセリフです。
夏休みを迎えるにあたっては、どこのご家庭でも、長期的な学習計画をつくり、夏季講習の予定とにらめっこしながら毎日のスケジュールを決めます。親がガイド役をしながら、最終的には子どもが決めるというご家庭も多いでしょう。しかしその計画が計画通りに遂行されていないとき、親は子どもを叱る正当な理由を手にします。だって、子ども自身が決めたことをやっていないのですから、約束を破ったわけですから……。これが怖い。
中学受験生の親は、のど元まで出かけた小言の数々をなんとかのみ込む生活を続けています。でも天王山においてわが子が自分で決めた約束を破っているのを見ると、それまでため込んでいた小言が堰(せき)を切ったようにあふれ出し、止まらなくなってしまうことがあります。理性のお墨付きを得た感情の暴走です。それはもちろん子どもを深く傷つけます。
「やるって言ったじゃない!…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル